21世紀の畜産革命―工場的畜産からアニマルウェルフェア畜産への転換

2012年7月1日、アメリカ合衆国カリフォルニア州政府が、世界三大珍味の一つであるフォアグラの生産及び店頭販売、レストランでの料理提供を禁止する法律を施行した(制定は2004年9月)。フォアグラは、ガチョウやカモを狭い場所に閉じ込めて運動できないようにした上に、蒸したトウモロコシを漏斗で強制的に詰め込む強制給餌を1日に3回繰り返し、一ヶ月間肥育させた脂肪肝である。その飼育方法が「残虐だ」とする動物愛護団体からの批判を受けてのことである。
米国ではこのような家畜の自由を閉じ込める工場的飼育方法の改革が全畜種で進んでおり、昨年7月には、全米鶏卵生産者組合(UEP:United Egg Producers)と動物愛護団体である全米人道協会 (HSUS:The Humane Society of United States)とが、今後15年~18年間において従来型ケージ飼育システムからエンリッチ飼育システム(飼育スペースを2倍増、止まり木・巣箱・砂遊び場の設置)への転換をはかる歴史的合意を結び、また両者が協力して州政府レベルの取り組みから連邦政府レベルでの法令化を目指すことになった。
また、ヨーロッパ連合EUでは鶏卵飼育バタリケージの使用が2012年1月から全面禁止されており(「採卵鶏保護基準指令」)、繁殖雌豚用のストールも最初の4週間以降は2013年1月1日から全面禁止される予定である(「豚の保護基準指令」)。子牛保護のために生後8週間を過ぎた子牛の個別のペン使用は2006年から禁止されている(「子牛の保護基準」指令)。

以上のように、ヨーロッパでは家畜福祉のための飼育基準の法令化が1990年前後から急速に進展し、EU統合の基本条約である1997年のアムステルダム条約には動物福祉に関する特別な法的拘束力を持つ議定書が盛り込まれ、そこでは「家畜は単なる農畜産物ではなく、感受性のある生命存在Sentient Beings」として定義された。この議定書が現在の家畜福祉政策の基礎理念となってEUの畜産革命といえるほどの政策転換が起きているといってよいだろう。

詳細は独立行政法人・農畜産業振興機構 『畜産の情報』 2012年10月号掲載
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/index2.htm

Written by admin on 10月 13th, 2012