Archive for 11月, 2012

楽農通信 No.51   no comments

アグリネイチャースチュワードである笹井農場の「楽農通信」No.51で、今年の稲作の様子をお知らせいただきました。

笹井さんは水田ビオトープにメダカや多様な水棲生物を保護され、お米やリンゴ、桃などの栽培には農薬や化学肥料に依存しない、まさに「自然共生農業」を経営されています。

また、農閑期には近所の農家の方々と郷土芸能団をつくられ楽しまれています。

これから、定期的にこの「楽農通信」を転載させていただきます。(松木洋一)

田の仕事

種(たね)播(ま)き

田の仕事今年の田んぼは、収量的にはいま一歩だったが、仕事の出来は上々であった。

我が家の田んぼは道より4mぐらい下がっているので 道からよく見渡すことができる。

道とは直角の方向に籾(もみ)を筋状に播(ま)くので、(直播(じかまき):苗を植えるのではなく、直接田んぼに籾を播く)道から眺めると稲の通りがよく分かる。

通りの間隔は30㎝、通りの数を数えてみたら なんと八十八通りあった。(約27m)

縁起のいい田んぼだったのである。

奥行き75mの田んぼに、なるべくまっすぐにと機械を操り 籾を播いていくのだが泥(どろ)田(た)の中なので なかなか まっすぐにはいかない。

ところが今年は 気持ちがいいぐらいにまっすぐに播けたのである。

代(しろ)掻(か)きをして水を張り、直播の日の朝 水を抜き、泥田にしてから籾を播く。

水を抜くのは、籾(もみ)が芽を出すときに空気が必要なことと、地温を上げるためだ。

一週間もすると黒い泥の上に白い針先のような芽が出始める。

通りの横から見たのでは分からないが、地面に顔を近づけて縦の方から見ると通りが通って 細くて白い筋(すじ)が日に日にはっきりと見えてくる。

平均して10㎝に2~3本 芽が出たところで浅く水を張る。

芽は水没して しばらくは見えなくなるが、4~5日もすると広い鏡(かがみ)田(だ)に淡い緑色のまっすぐな線が現れる。

日ましにその存在を明らかにして道からも見えるようになる。

そのまっすぐな 明るい緑の線が、なんともさわやかで すがすがしい。

その道は保育園の行き帰りの親子の通り道にもなっているが、そんなことを少しでも感じてくれる親子がいたら、百姓爺(じい)さん小(こ)躍(おど)りをして恵比寿(えびす)顔(がお)になる。

稲架(はざ)

10月6日 バインダーという 稲を刈って束ねる機械を使って稲刈りをした。

次の日の午前中に稲架(はざ)の骨組みを作り、午後から大勢で、刈り倒した稲を集めて稲架に掛け、みんなで収穫祝いのおいしい酒を頂いた。

約半月、稲架で稲を天(てん)日(ぴ)乾燥してから脱穀(だっこく)をする。

今は、ほとんどの家がコンバインという刈り取り・脱穀を一緒にやってしまう機械で収穫して、火力乾燥するようになったので、稲架もめっきり少なくなった。

そんな稲架作りにも上手下手がある。

我が家の田んぼでは稲の通りと同じ方向に、70mぐらいの稲架を2本立てる。

これも、なかなか思ったように、まっすぐに、水平に、均等にというわけにはいかないのだが、今年は 惚れ惚れするぐらいにうまくいった。

あまりの出来のよさに、用もないのに稲架を眺めに遠回りをしたこともある。

種播きや、稲架がまっすぐ出来たところで別に何ということもないのだが、ただ 少し 誇らしいのである。

田の畔の緑と、稲架の黄金色との「裂き織り」のような景色も、一年のうち わずか半月見られるだけなのである。「無常」を感じることのできる季節と歳になった。

とりどりに 色あはれなる秋草の 花をゆすりて 風ふきわたる     伊藤左千夫

長野県下高井郡山ノ内町上条 4535  笹井昇一・敦子

〒381-0401  Tel 0269-33-4016  Fax 0269-33-3163

Written by support on 11月 16th, 2012