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農業の総論と各論 農業の大規模化の持つ意味は?   no comments

Posted at 4:51 am in その他,福田 高志

1)昔といっても、ほんの少し昔ーー50年前ですから私たちが子供の頃ーー昭和35年は日本にとって大きな分かれ目でした。

この年

(1)日本の農家戸数は600万戸

(2)耕地面積は600万ヘクタールで

どちらも日本の歴史始まって以来の最大人口・最大面積でした。

戦後の社会が落ち着いて、化学肥料の生産も増やしました。

このおかげで、米の生産はこのあたりから1000万トンを突破し、1300万トンと大豊作を記録しました。米の輸入はなくなり、米は在庫で

困るようになり始めます。戦前ーー明治時代から米は輸入されて来ました。

歴史の中で始めて全部の日本人がすべて米が食べられてしかも米を余らせるという新しい時代です。

2)その片方で、日本は工業・商業に従事する人が増え、産業別人口構成が大きく変わっていきます。

農業人口の推移を見ると産業の変遷を良く現しています。

昭和21年に農家人口は34百万人。このうち仕事をしていなかった人は14百万人。疎開していた都会の人口が入っています。そのあと昭和35年ー高度成長の直前期まではこの規模はほとんど

変らず、就業人口だけが増えていきます。戦後生まれの子供が就職していくのが昭和39年東京オリンピックの頃からで、農家人口は急激に減っていき、製造業やサービス業に吸収されていきました。

基幹的な農業人口はこの間に、21年に14百万人から昭和35年にはまだ13百万人だったのが昭和50年には880万人、60年には780万人、しかし平成に入ると急激に減少し、平成17年

には360万人、平成22年には270万人にまで減っています。最近の1年では、19万人の減少と、高齢者の農業離れが急速に進んでいます。

3)大規模化の話では小規模農家が取り残されるという話が繰り返し出てきますが、農業を維持できないこうした農家と農地をどうして行くのかということについて、大規模化の中で解決していく以外のうまい対案はまだ残念ながら一般化されていません。

現在進んでいる高齢者農家の支える地元直売所が、当面の回答ですが実際はこれらの直売所を支えているのは、年金をもらいながらまだ体力のある高齢農家の持つ資産を使って支えている現状なのではないでしょうか。

経済合理性から見れば、ほとんど採算は取れないが、自分の体が動ける間は直売所に自分の作った野菜を出して小遣いを作るというモデルは、再生産されるわけではなくこの世代が終われば続かないことになります。

4)地元で農地の集約を進め、大規模化を補助金を使って完了させ、中長期の見通しの下で生産コストを引き下げることに成功させることが、やはり一番のモデルになりそうです。特別の米を作らなくてもやっていける米作りへの集中ーこれではないでしょうか?

そのかわり、農家の数はさらに減ります。今よりさらに10分の一、20-30万人規模の農業は政治的な発言力はなくなりますが国民の支持は得られると思います。

5)この大規模化モデルは、結果的には農地を受け取って農業を続けるための方策ではありますが、みんなは要らない。

この先、辞めていくのだけどしばらくはやっていきたい、だけどそんなに苦労はしたくない、病気や怪我になったらやめたい。

こうした細かい希望が農協を動かし、議員を動かしています。これを調整していくのはそれこそ行政能力と、政治の力なのですが。

Written by fukuda on 5月 26th, 2012