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誰が日本の自然を守っていくのか? ーCOP10が残した基本課題ー   no comments

Posted at 12:03 pm in 松木洋一

名古屋での生物多様性国際会議が主として取り上げたのは、生物遺伝子の経済的取引における利害調整というテーマであった。

本来の豊かな生物多様性世界の実現には、それぞれの国、地域において自然生態系の破壊をいかに防止し、多様な生物の再生と保護を実現するシステムをいかに国際的な協力のもとで造るかにかかっている。しかも、「誰が?」という担い手の問題が基本にある。

日本の自然は数千年間の歴史のなかで作り上げてきた「農業自然」であり、その担い手は農業者である。その自然と共生してきた農業者は、この半世紀は化学農薬なとに依存して、自然の破壊者として性格を強めてしまっている。本来の自然と共生する主体としてよみがえって欲しいと思う。

現在の農業者は、自分たちが従事する農業の多面的機能=生物多様性保全を認識し、農地回りの昆虫や野草、森林、清流、自然の景観に気をつかっているだろうか?        そのための農業経営活動に費用がかかるのであれは、当然農産物価格に含まれてしかるべきである。そして、EUが重視している”自然のための農業Farming for Nature”を促進する直接支払い補助政策を納税者市民が支持していくべきであろう。

農産物貿易の自由化が不可避の世界的状況のなかで、しかも大規模な外国農業経営との競争を日本の農業経営に求めることは絶対的に不可能である。                 現在の日本の農村は、山間部のみならずすでに崩壊状態にあり、荒れ果てた灌木地化した水田、畑があらゆる地域に広がっている。                                 バック・ツウ・ネイチャーとして放っておけばいいのでは、という意見もでている。しかし、日本の自然は農業自然であり、そこに生きてきた固有種の多くは農業と共生する生物である。

21世紀の日本の農業者が自分たちの社会的役割と義務に目覚めることを期待し、そのために納税者、消費者および食品企業、研究者によるサポートシステムの構築を目指して行きたいと思う。

東京都あきる野市の耕作放棄畑を復元する市民の活動

 

Written by matsuki on 12月 14th, 2010